通勤中はノイズキャンセリングを使い、仕事が終わったら好きな曲をじっくり聴く。そんな一日を1台でまかないたい人に、オーディオテクニカの「ATH-TWX9MK3」は気になる新製品です。2026年11月20日発売予定の完全ワイヤレスイヤホンで、価格はオープン。選ぶうえで効いてくるのは、新しいANCと、接続設定によって大きく変わる電池持ちです。
先に結論をいうと、充電の回数を減らしたい人、装着状態に合わせたANCに魅力を感じる人は候補に入ります。一方、最高音質設定で丸一日使いたい人や、LE Audioが今すぐ必要な人は慎重に選びたい機種です。本稿は2026年11月8日時点の公式情報をもとにした購入ガイドで、実機の試聴レビューではありません。

「最大45時間」より、自分の設定で何時間使えるか
まず見たいのは、イヤホンを耳に着けたまま使える時間です。「最大45時間」は途中でケースに戻して充電した分を足した数字。単体の連続音楽再生時間は、次のように接続方式で変わります。
| 接続コーデック | ANC ON | ANC OFF |
|---|---|---|
| SBC/AAC | 最大11時間 | 最大15時間 |
| LDAC | 最大7時間 | 最大9時間 |
| LHDC-V5 | 最大6時間 | 最大6時間 |
数値はメーカー公称の音楽再生時間で、使用条件により変わります。SBC/AACでケースを併用した合計は、ANC ONで最大33時間、OFFで最大45時間。出典:ATH-TWX9MK3公式製品情報。
たとえば往復2時間の通勤なら、表の3設定はいずれも公称値では余裕があります。ただ、移動中も仕事中も充電せず使いたいなら話は別。ANC ONではAACとLHDC-V5に5時間の差があります。「高音質設定も長時間再生も最大値で同時に使える」とは考えず、長い移動の日は電池持ちを優先する、といった使い分けが現実的です。
オンライン会議の時間を、この表で見積もるのは禁物。通話時はANCのON/OFFにかかわらず最大6時間と案内されています。会議が詰まった日に使うなら、昼休みなどにケースへ戻す時間を組み込むほうが安心です。

新しいANCは、左右の耳や着け方の違いを補う設計
新搭載の「フィット・アダプティブ」は、装着状態を検知してANCのフィルターを自動で調整する機能です。毎回まったく同じ深さにイヤホンを入れられるとは限らず、左右の耳の形も同じではありません。その差を制御側で補うのが今回の狙いです。メーカーの説明は発売発表に掲載されています。
付属イヤピースは楕円形で、長さとサイズの組み合わせが計8種類。径だけでなく、耳に入る深さも選べます。浅く着けると外れやすい、深く入れると圧迫される、といった悩みがある人には試す理由になります。ただし、自動調整がイヤピースの隙間や痛みまで解決するわけではありません。試着ではANCを切った状態の収まりも見ておくと、機能と装着感を分けて判断できます。

192kHz対応は、スマートフォンとの組み合わせで決まる
LHDC-V5では最大192kHz/24bit、LDACでは最大96kHz/24bitの伝送に対応します。ただしLHDC-V5は送信側の対応が必要で、上限も接続機器の仕様次第です。スマートフォンの製品仕様に対応がなければ、イヤホンだけ買ってもその設定にはなりません。
ここで気をつけたいのは、数字が大きいほど必ず好みの音になるわけではないこと。コーデックは音を運ぶ方式で、低音の量感やボーカルの近さまで決めるものではありません。新ドライバー「Pure Motion Driver Gen2」の実際の音色も、本稿では評価していません。いつも聴く曲を普段使う端末で再生したときに好みに合うかが、最後の判断軸になります。
発売時点の機能と、アップデート予定は分けて選ぶ
LE Audio/Auracast関連機能は、順次アップデートで対応予定と注記されています。公式にはLC3接続時の電池持ちも載っていますが、購入時に使える前提で比較表へ混ぜると判断を誤ります。ここでは発売前の主な接続方式を表にし、予定機能は分けました。
Auracastを目的に買うなら、対応アップデートの提供と、接続相手・利用場所側の対応がそろってからが無難です。逆に、今使っているスマートフォンでANCと音楽再生を使うのが中心なら、将来機能より先に電池持ちとフィット感を比べるほうが購入後の満足につながります。
ATH-TWX9MK3を選ぶ人、いったん見送る人
| 使い方・悩み | 判断の目安 |
|---|---|
| 通勤と自宅の音楽再生を1台で | SBC/AACの長い再生時間が合いやすい。ANCを常用するなら11時間の欄を見る |
| イヤホンの着け方でANCの効きが変わる | フィット・アダプティブと8種類のイヤピースを試す価値がある |
| LHDC-V5で長時間の移動を楽しみたい | 単体最大6時間。途中のケース充電を許容できるかが分かれ目 |
| 仕事中ずっと通話に使いたい | 音楽再生ではなく通話最大6時間を基準にする |
| LE Audio/Auracastが購入の必須条件 | 対応アップデートと接続環境がそろうまで待つ |
買い替えの決め手は、スペックが一つ増えたことよりも、今のイヤホンで困っていることが減るかどうか。充電切れや装着時のANCのばらつきに不満があるなら有力候補です。今の機種に不満がなく、数字上の音質向上だけが理由なら、発売後に同じ曲で聴き比べてからでも遅くありません。


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