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sacaiの服は、正面の写真だけで決めず、横や後ろまで見たくなります。ニットに薄い布が続いていたり、デニムの袖にフライトジャケットのポケットが付いていたり。知っている服の要素を組み合わせ、見慣れない形へ変えることが、このブランドの面白さです。


写真は2017年秋冬のトップとスカート。迷彩を思わせる四角い柄に、細かなプリーツ、首元のリボン、透ける袖が重なっています。軍服を連想させる配色でも、形は柔らかい。遠目の印象と近くで見た細部の違いに、sacaiらしい組み合わせ方が表れています。
最終確認:2026年11月4日。公式資料、美術館の作品情報、デザイナー本人のインタビューを参照しています。掲載作品を所有・着用したレビューではなく、資料と写真の観察による紹介です。
sacaiは、どんなブランド?
sacai(サカイ)は、阿部千登勢が1999年に東京で始めたファッションブランドです。2026年11月時点でも、FHCMのブランド紹介は阿部千登勢をアーティスティック・ディレクターとしています。sacai公式のブランド紹介、FHCMのデザイナー情報。
軸にあるのは、異なる素材や服の構造を組み合わせる「ハイブリッド」の発想。単に色を切り替えるだけでなく、布の厚み、落ち方、前後の形まで変えていきます。公式が掲げる日常に根ざした服作りと、実験的な構成が同居しています。
黒い服が好きな方なら、同じ黒でもデニムとナイロンの光沢差が見える上着や、裾の重なりが分かる服から入ると特徴をつかみやすいと思います。NIKEとのスニーカーで知った方にも、服の素材を切り替える発想と、靴のパーツを二重にする発想を並べて見ると、つながりが見えてきます。
阿部千登勢とsacaiの歴史
- 1999年:阿部千登勢が東京でsacaiを設立。
- 2009年春夏:メンズコレクションを開始。ウィメンズと同じ考え方を、男性向けの服にも展開する。
- 2011年9月:東京・南青山に旗艦店を開く。建築は藤本壮介が手がける。
- 2021年7月:ジャンポール・ゴルチエのゲストデザイナーとして、2021年秋冬オートクチュールを発表。
- 2025年5月:Levi’sとの協業コレクションを発売。デニムジャケットなどの構造を組み替える。
- 2026年:阿部千登勢のもとで、ウィメンズ、メンズともにパリでコレクションを発表。
設立、メンズの開始、南青山の店舗は公式のブランド紹介を参照。ゴルチエとの仕事は阿部とゴルチエの対談(British Vogue、2021年7月7日)、Levi’sはsacaiの2025年5月の公式告知で確認できます。
ゴルチエのクチュールは、阿部が別のメゾンを恒常的に指揮することになったという話ではなく、招かれたデザイナーとしてのコレクションです。本人は対談で、ゴルチエのアーカイブを見て理解を深め、自分たちの方法で再解釈したと語っています。sacai本体のコレクションとは区別して見ると、何を引き継ぎ、何を変えたかが分かりやすくなります。
作品写真で見る、sacaiの3つの特徴
1.柄の印象と、生地の動きをずらす
冒頭の2017年秋冬作品は、RISD Museumの登録名では「Top and skirt」。一枚のワンピースではなく、トップとスカートの組み合わせです。素材はシルクの平織りとシルクベルベットの縁取りと記録されています。RISD Museumの作品情報。
緑・黒・ベージュの角ばった柄は、軍服の迷彩を連想させます。一方、肩やスカートの細かなひだが模様を分割し、首元には長いリボンが垂れています。ここで見たいのは「迷彩柄」という名前だけでなく、柄を載せる布の柔らかさと、プリーツによって形がどう変わるかです。
2.正面だけでなく、背中まで構成する

同じ作品の背面では、首の下から広がるプリーツと、長さのそろわない裾が見えます。正面で目立ったリボンの代わりに、背中では生地の量と縦の線が中心になる。前後を並べると、柄を飾りとして載せるだけでなく、服全体の形を組み立てていることが分かります。
通販でsacaiを見るときも、正面に加え、側面と背面の写真を確認したいところです。裾の切り替えがどこまで続くか、背中の分量がどれくらいあるかによって、同じ着丈でも見え方が変わります。
3.日常着の細部を、別の服へ移す
現行のClassicsにも、この発想は見つかります。たとえばデニムジャケットの腕に付いたナイロンのファスナーポケットや、スウェットパーカーの脇の光沢部分。よく知る服を入口にしながら、別の服の機能や表情を加えています。
切り替えの数が多いものほど自分に合うとは限りません。素材の違いを楽しみたいのか、前後の丈の差を見せたいのか、身幅の大きさを主役にしたいのか。まず一つ決めると、コレクションの複雑さに圧倒されずに選べます。
代表的な協業:NIKEとLevi’sでは何を変えている?
NIKE LDV Waffle:一足の中で、パーツを二重にする
NIKEの公式説明では、sacaiのLDV WaffleはLDVとワッフル レーサーを組み合わせたモデルです。シュータン、靴ひも、スウッシュが二重になり、ミッドソールのフォームは後ろへ伸びています。色違いのロゴを置くことにとどまらず、靴の構成そのものに手を入れているのが見どころです。NIKE公式のLDV Waffle ブラック。
同じ「NIKE × sacai」でも、モデルが違えば元になった靴や形は異なります。中古を探すときは、コラボ名だけでなくモデル名と品番まで確認してください。紹介したNIKEのページは完売表示のアーカイブで、現在の購入在庫を示すものではありません。
Levi’s × sacai:デニムの歴史を前後で組み合わせる
2025年の協業では、ウィメンズのデニムジャケットに、Levi’sのType II・Type IIIを組み合わせた前身頃と、Type Iを参照したシンチ付きの背面が用いられています。メンズにはデニムとマトラッセツイルを使ったリバーシブルのブルゾンも登場しました。Levi’s × sacaiの公式説明。
前と後ろを別々に見る、裏返した状態も見る。この協業は、sacaiの服を見る習慣を覚える入口にもなります。なお、後述するClassicsのデニムジャケットSCM-304とは別の商品です。デニムとナイロンが組み合わされているという理由だけで、Levi’sとの協業品と判断しないようにしましょう。
黒い服から選ぶなら:Classicsの3型を比較
ここからは、公式のsacai Classics Menに掲載されている型を例に、素材と形を見比べます。売り切れ表示の型も含みます。以下の仕様は、2026年11月4日に確認した各品番の情報です。公式のClassics Men。
Denim x Nylon Twill Jacket:SCM-304
黒いデニムの面に、袖のナイロンポケットや裾の異素材が加わるジャケット。公式の表地表示は綿100%、別布の一部はナイロン100%です。中綿にはポリエステルが使われています。「デニムだから一枚仕立ての軽いGジャン」と考えず、裏側と中綿の有無まで確かめたい型です。SCM-304の公式商品ページ。
色を増やさず切り替えを見せたい場合に、素材の差を取り入れやすいデザイン。黒いウールパンツなど、表面が比較的落ち着いたボトムと合わせると、袖や裾の光沢が見えやすくなります。デニム同士で合わせるなら、色の濃さだけでなく、生地の厚みと上下のボリュームも比べてみてください。
Nylon Twill Blouson:SCM-301
表面の光沢と、袖や身頃のふくらみを見せるナイロンのブルゾン。公式は表地をナイロン100%、裏地と中綿をポリエステル100%としています。リブなどの別パーツは、異なる混率です。SCM-301の公式商品ページ。
長い丈の服が多いワードローブなら、このようなブルゾンで上半身の長さを変える方法もあります。試着時は前を閉じた状態だけでなく、開けたときの襟元と裾、横から見た背中の膨らみを確認すると、手持ちの太いパンツとの比率を考えやすくなります。
Sponge Sweat x Nylon Twill Hoodie:SCM-325
BLACK×BLACKのパーカーは、スウェットの面と、脇や袖ポケットのナイロンの光沢を組み合わせています。公式の表地表示は綿62%・ポリエステル38%、別布の一部はナイロン100%。名前にSweatとあっても、綿100%の一般的なパーカーとは素材構成が異なります。SCM-325の公式商品ページ。
最初の一着を日常の服に近づけたいなら、フード付きという見慣れた形から比べる方法があります。ただし、洗濯のしやすさや伸縮性を名前だけで判断せず、購入する個体の取扱表示を確認してください。異素材が組み合わさる服は、部位ごとに質感が違うことも着用前に見ておきたい点です。
2027年春夏メンズを、映像で見る
写真で細部を見たら、歩くときに裾や重なりがどう見えるかも確認してみてください。以下はFHCMが掲載する、2026年6月28日発表の2027年春夏メンズの映像です。制作年が2017年の冒頭作品や、店頭のClassicsとは別のコレクションとして見比べられます。
FHCM掲載のsacai 2027年春夏メンズ・コレクション映像を見る。ショーの全身像を追うと、静止画では分かりにくい前後の丈や、歩いたときの布の動きを見比べられます。
ウィメンズのルックはsacai公式の2027年春夏で見ることができます。
中古を探すときの確認ポイント
- 品番と区分:メンズ、ウィメンズ、協業品を確認。同じブランドのサイズ1でも、商品の実寸と形はそろわない。
- 前後と側面:背中の切り替え、裾の長短、脇のパネルまで写真を見る。正面だけでは服の分量が分かりにくい。
- プリーツと薄い布:ひだのつぶれ、引っ掛け、糸の飛び出し、縫い目付近の裂けや補修の有無を確認する。
- ナイロンとリブ:表面の擦れや変色、袖口・裾の伸び、毛玉を確認。光の反射と実際の傷を分けて見る。
- 付属品と開閉:ベルト、取り外し可能な部分、ボタン、ファスナーがそろっているか。何が付属するかを販売店の説明で確認する。
- 実寸:肩幅、身幅、袖丈、前後の着丈を手持ちの服と比べる。大きく見せる設計と、単にサイズが合っていない状態を分けて考える。
採寸の比較にはジャケットの実寸を見るガイドも参考になります。スニーカーでは、ソールの減りや接着部、左右の状態も確認してください。写真やタグだけで真贋を保証することはできないため、販売店の検品方針と返品条件も合わせて判断したいところです。
楽天市場の掲載例:SCM-301の中古ブルゾン(広告)
KOMEHYO掲載のSCM-301は、販売店表記でブラック系・サイズ3、状態ランクBの中古品です。掲載実寸は着丈74cm、肩幅49cm、身幅63cm、袖丈68cm。ブルゾンのふくらみを取り入れたい場合は、身幅だけでなく着丈と袖丈も手持ちの上着に重ねて比べると、上下のバランスを考えやすくなります。
販売店はAD2026と案内していますが、素材の混率は掲載されていません。本文の公式掲載品から中古個体の仕様を補わず、品質表示や状態写真を確認してください。色は販売店の「ブラック系」表記で、価格・在庫・購入条件は変わる場合があります。
黒い服の中で、どこを変えたいか
sacaiを選ぶときは、全身を複雑にする必要はありません。デニムとナイロンの境目を見せる、背中の分量を見せる、足元の二重になったパーツを見せる。その日の服で目を向けてほしい部分を一つ決めると、組み合わせを考えやすくなります。
黒の長い輪郭や布の揺れを中心に選びたい方は、ANN DEMEULEMEESTERの紹介と見比べると、服の組み立て方の違いが見えてきます。上下の分量に迷ったら、服のシルエットを考えるガイドもどうぞ。
主な参照資料と画像について
歴史と現体制はsacai公式およびFHCM、作品の制作年・素材はRISD Museum、協業はNIKE・sacaiの公式情報と阿部千登勢の対談を参照しました。商品仕様は本文に記載した型番ごとの情報です。販売価格や在庫は変動するため、購入時は販売ページで確認してください。
3枚の作品写真は、同じ2017年秋冬作品の正面・背面・細部を比較するために掲載しています。RISD Museumの画像利用欄でCC0が明示された画像を使用し、出典は各写真の下に記載しました。コレクション映像は外部プレイヤーによる埋め込みです。


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